2012年4月10日火曜日

茨城にカンブリア紀の地層…日本最古、5億年前。

茨城県常陸太田市長谷町の茂宮川最上流部の地層「西堂平(にしどうひら)層」が日本最古となる約5億1100万年前のカンブリア紀のものであることが、日立市郷土博物館特別専門員で茨城大名誉教授の田切(たぎり)美智雄さん(65)の研究チームの調査でわかった。

田切さんは「日本列島の形成過程を知るため重要なデータになる」と話している。今回の研究成果は、9月18日から富山大で開かれる日本地質学会で発表される。

研究チームは2008年にも、日立市北部の山地で日本最古となる約5億600万年前の地層を発見しており、今回はさらに500万年さかのぼる地層を確認したことになる。

田切さんらは約10年前から西堂平層の研究を始め、年代測定に必要な鉱物「ジルコン」の採取を続けてきた。昨年7月、南極・北極域について研究している国立極地研究所(東京都立川市)の高感度質量分析計でジルコンの中のウランと鉛の含有率を調べ、年代を割り出した。その結果、カンブリア紀(約5億4200万~約4億8800万年前)のものと判明した。

調査ではこのほか、日立市東河内町で約5億700万年前の地層なども見つかり、カンブリア紀の地層が約30平方キロ・メートルに広がっていることも判明。田切さんは「日立市と常陸太田市にまたがる多賀山地から日本列島が形成されたのではないか」と推測している。

田切さんらは今後、西堂平層から化石を探し、日本列島と大陸のつながりについて調査を進め、生物の進化の過程を明らかにする研究に役立てる。