2015年12月7日月曜日

進む中国の国際化

その中国では、ドイツ、フランス、アメリカ、日本の各国のブランドで乗用車を組み立てており、一部の軽四輪バンタイプのタクシーを除けば、乗用車のほとんどは外国製である。ソウルを走る乗用車の大部分が韓国製であるのとは、対照的な風景である。長江上流の雅碧江では、一九九九年末に中国最大の水力発電所三三〇万が完成したが、この設計から施工まで、イタリア、フランス、中国の企業が共同で請け負い、世界銀行からの一〇億八〇〇〇万ドルの融資を受けている。文化大革命中の、何から何まで自力更生でやりぬくという経済・技術戦略とは、なんという変わりようであろう。
 
世界の人口の五分の一を占める中国が、その門戸を開いて急速に国際化しつつある。あらゆる分野の多国籍企業が、中国大陸にも、中国周辺の沿海にも宇宙空間にも続々と進出しつつある。中国の国際化が進むにつれて、海外の動きと連動して、さまざまな利害関係や思想が生じることは避けられない。そのため、広大な中国全土にわたって、北京から十二億の人を政治的に統括するのは、次第に困難となるに違いない。
 
各省・自治区の分権化は、建国後も何度か試みられ、そのつど混乱が生じて中央集権化に戻ることをくりかえしてきたのだが、結局は分権化へと進まざるを得ないのではないか。これも性急に行えば、中国は混乱し、その影響は東アジアから世界にも及ぶであろう。アメリカへの一極集中から多極化への移行と同じく、二一世紀の世界は、中国がいかにして分権体制に軟着陸するかという課題につきあたる。
 
ところで、日本と中国を含めての東アジアの諸国・地域の対米輸出依存度は、ひところより低下したとは言え、依然として高い。それぞれの対米輸出額と総輸出額に対する百分率、さらに対日輸出額・輸入額、主要輸出商品の第一位、第二位を示す。東アジア諸国・地域は、家庭用電子機器やそれらの部品や衣料などの生産と輸出を軸として、経済成長を推進し、それによって域内市場を拡大させつつあり、その点て、世界のなかでも際立った特徴を持っている。また主要輸出品の対米依存度や、主要輸入品の対日依存度がきわめて大きいことでも特徴がある。