2012年4月5日木曜日

シカゴ大豆、高止まり 食用油、再びコスト高も

食用油や飼料になる大豆の国際価格が高止まりしている。指標となるシカゴ商品取引所の期近物は1ブッシェルあたり8.8ドル前後で推移。アルゼンチンの不作見通しと、中国の買い増しが強材料だ。食用油メーカーなどは再びコスト高に陥る事態におびえている。

 シカゴ市場では昨年7月、投機マネーが買い支えて過去最高値16.63ドルまで上昇した。だが、米国の金融危機を発端に投機資金は流出、12月にいったん7ドル台まで下がった。
大豆も原油など他の商品と同じように低迷すると市場関係者に予想させた。しかし、実際は底堅さが目立った。

その要因のひとつはアルゼンチン。世界有数の大豆産地で輸出量も多い同国では、今年は数十年ぶりの干ばつと見込まれているという。乾燥した天候が続き、開花などの時期に悪影響を与えた。アルゼンチンの不作は、米国の大豆に対する需要拡大につながっていく。

もう一つは中国の動きだ。中国政府は急落する大豆相場に配慮して、大豆の国家備蓄を始めた。その結果、米国産の流入が増えたというわけだ。アルゼンチン産の調達を不安視し、中国政府が米国産の買い付けを増やした背景もあるとみられている。

世界景気の悪化が日々伝えられる中で、大豆相場の底堅さに食用油メーカーは戸惑っている。少なくとも過去の経験からすれば、現在の価格は妥当な水準ではない。
価格の基調を左右する米国の大豆在庫率見通しは今年8月末で7.6%。この水準に近かった2001一02年の価格は4―6ドルの範囲だった。

価格水準は完全に切り上がり、景気回復とともにさらに長期的な上昇トレンドに戻っていくのではないか――。市場関係者にはそんな不安が渦巻いている。